コンテンツとコンテナ

たとえば「音楽CD」というものを考えてみるときには、それは「録音された音楽」(コンテンツ)と「それを伝播させるための箱(CDおよびジャケット、ケース、流通含めて)」(コンテナ)という感じで分けて考えるのがよいと思っている。

CDの売り上げ不振が叫ばれて久しいようだけど、正直、今の時代を背景にしてみると、CDというコンテナは非常に時代遅れで競争力が弱い。特にデジタルデータ(MP3など)というコンテナに対しての競争力はあまりにも弱い。たとえば以下のような点。

  • 「欲しい」と思った瞬間にネット経由で手に入る
  • 場所をとらず、大量のものを一度に運搬できる
  • 友人にすぐに送信できる

…とかいう話はもうさんざん言い尽くされてると思うけど。
そもそもCDというのは、レコードより「便利」という点で受け入れられてきた部分が大きいし、レコードだって「便利」という理由で受け入れられてきたんだろうと思うし。CDに支払っているお金のうち多くの部分はその「コンテナ部分の便利さ」に対して支払われている、と考えるとわりと色々腑に落ちる。その辺わかってれば、音楽業界自身が先にiTSにたどり着いていたんじゃないかと思う。iTSに自らたどり着けなかった以上、取り分が減るのは仕方ない。それを嘆くよりも、iTSよりももっと便利でもっと楽しい音楽のコンテナを作るとか、何か考えるべきだと思う。


ただ、デジタルデータは複製コストが限りなくゼロになることに伴い、需要と供給という基本原則を当てはめるならば市場価格は限りなくゼロに近づかざるを得ない(その価格の出し方がそもそもどうか、という考え方もあるけど)。その辺ふまえて(基本的に価格は限りなくゼロに近い、という前提で)どうやってコストの回収をするか、については今のところ4パターンくらい、これまでにあったやり方で使えそうなのがあると思っているのだけど、さてなんでしょう。