初音ミク曲を作ってニコ動に公開して、VOCALOID曲の流通っぷりをちょっと学んだ記録。
前のエントリでも書いた通り、夏から初音ミクを使って曲を作って、ニコニコ動画にて公開する、ということを密かにやってたりする。半分くらい実験の意味で、今回はニコ動とpiaproに動画や音源を公開する以外は一切宣伝せず、その状態でニコニコ動画内でどういうふうにコンテンツが流通していくのか、というあたりを様子見ながらやってみた。
マニアックな音楽しか作れない底辺Pなので、案の定数字はそこまでのびてないけど、VOCALOID楽曲というコンテンツが、どういうふうに伝播?していくのかを知れたのはいい経験になった。あと、前のエントリのこともそうだけど、やはり実際にやってみないと分からないことも結構あったな、と。
VOCALOID周辺の楽曲の広まり方は、典型的なパターンだとこんな感じっぽい。
- 新曲を公開する。このとき「VOCALOID」とか「初音ミク」、みたいな基本的なタグは自分で入れておくのがベター。
- 新曲を定期的にチェックしてる人がそれなりの数いる模様。そういう人たちは主には↓みたいなところをチェックしてるっぽい。
- まずそういったコア?なVOCALOIDファンの人たちが曲を聞いてくれて、コメントがついたり、タグなどが整備されたりする。
- そこでつけられたタグとか評価をもとに他の人がまたやってくる。
- 再生数、コメント等が増えていきつつ、評価されていく。ニコニコ動画内で名の知られた、ファンを多く持つ制作者だと、やっぱり数字の動きがダイナミック。
- 中でもいい評価のついたもの、特徴のあるものなどはランキングなどに取り上げられる。ニコニコ動画内で展開してるランキングは、公式のもの以外に、有志で勝手に作られてるジャンル限定のものなど色々あり、それ以外にも特徴のあるものを集めた楽曲集みたいなもの作られていて、曲を発掘したり広めたりしようという動きが盛ん。VOCALOID界隈で有名どころだと↓みたいなランキング動画が有志によって作られてる。
- ランキング動画に掲載されると、そこ経由で人が来てまた再生やコメントが増える。
ぱっと見旧来の音楽コンテンツの広まりかたとそんなに大きく違いがない気はするし、さほど目新しい感じでもないんだけど、しかしこれが「ニコニコ動画」という場でシステムとしてある意味完結してること、それから曲に対する支援的なものや二次創作作品(PVとか)とか評価である「ランキング」とかもすべて楽曲と同じレベルの「動画コンテンツ」として流通しているのは結構面白いなー、と思う。そして初音ミクが世に出て1年ちょいしか経ってないのに、こんなまるで音楽界の縮図みたいな仕組みができあがってるのもなんとも面白い。
以下は雑感。
- 最初にタグつける以外放っておいても、公開してから半月くらいの間はコメントついたり再生数やマイリス数が増えたりしてる感じ。
- 1ヶ月くらい経つと、有名曲にならない限りは数字の動きはあまりなくなっていく印象。
- とはいえほとんど宣伝的なことは何もしないでも数百の再生数が得られて、数十のコメントはもらえたりするので、昔muzieとかで同じようにオリジナル曲公開してたころよりはずっと楽しいし、モチベーション維持できる。
- とにかく「GJ」のひと言でも反応がもらえるのは嬉しいし、コメントだけじゃなくてタグやマイリスト登録など色々な形での「評価」がもらえるので、作る側としてはかなり楽しい。
- 動画につけられるタグは「評価」としても侮れない。初投稿作品に「期待の新人」とかついたりすると予想外に嬉しい。
- ニコ動のVOCALOID周辺は、曲を作る人に優しい気がする。特に新人に対してのWELCOMEムードが素敵だなー、と思った。
- 「VOCALOID」のファンって結構いるんだなー、という印象。「VOCALOID曲を公開する」事で得られる注目度(というか聴いてもらえる絶対数)は、muzieとかmyspaceとかで無名でやってるのと比べてかなりのもの。
- とはいえ、VOCALOID関連はすでに曲を作る人もかなり多く、ある意味競争の激しいジャンルになりつつあるので、手の込んだレベルの高そうな曲でも埋もれてしまっているのをよく目にする気はする。でもランキング等等通じて曲を発掘しようという動きは盛んなのもあって、本当にいいもの、面白いもの作ってる人は少しずつでもちゃんと評価されていってるような気はする。少なくとも他のインディーズ系音楽サイトとかよりは「これは埋もれすぎだろ」というのが少なめな気がするんだけど、気のせいかなぁ…。
- しかしやはり、「ニコニコ動画」という文脈を考えて、コメントなどがつけやすい、ちょっとネタ気味な曲を用意したり、動画のほうに突っ込みどころを用意するなどして、ニコニコ動画という場で「楽しみやすい」ものにしたほうがウケはいい模様。
- ネタ曲で名前を知ってもらえると、次にまじめな曲を作ったときでも聴いてもらいやすくなるので、何曲かネタ曲も作って認知度アップを狙うのはアリだと思います正直。