CDが売れないとかそういう話とVOCALOID界隈と。

最近Flashもやらないでこんな事ばっか書いてる気がするけど…まあいいか。

http://d.hatena.ne.jp/inumash/20081023/p1

こちらの記事とそのリンク先の記事とか見てて、関係あるようなないようなことでふと思うことがあったのでちょっとだけ。

ここのところVOCALOID回りの楽曲を(自分が作るようになった関係もあって)色々漁ってたんですが、その際の行動パターンが、昔いろいろ音楽を漁ってて、新しい音楽探すのが楽しくて仕方なかった頃によく似てるような気がする。かつ、何気にそれを結構楽しんでいる自分がいることに今ふと気づいた。

で、じゃあたとえば他のジャンルの音楽とかだとどうなのかと思いかえしてみると、曲漁ったりするのがあまり面白くない、というかなんか面倒でわりとすぐやめてしまう。

何が違うのかと考えてみると、ひとつはやっぱり「コミュニケーション」かな、と。VOCALOID界隈のコミュニティが同時に存在するので、誰かの「あれよかった」「これオススメ」みたいな声が聞けること、また、曲を作ってる人にもニコニコ動画とか通して直接コミュニケーションができたりして色々な形で「誰かと一緒に盛り上がってる感」があること。

もう一つ思ったのが、「情報がわかりやすいところにまとまってあって、かつ、その総量がある程度限られてること」かもしれないな、と。
VOCALOID界隈の場合、公開場所はニコニコ動画piaproあたりがメイン、周辺情報も2chやニュースサイトあたりをチェックしておけばだいたい把握できる。1日に発表される新曲も、そこまで破壊的に多くはないので、さわりだけなら全曲聴こうと思えばできなくない(さすがに聴かないけど)。で、かつ全部VOCALOID関連なのでひとまずどんなものでも興味の範囲内にあることは保証?されてるので、新曲を適当に漁るのもそんなに苦痛じゃない。旧曲もランキング等のアーカイブなどあるし、詳しい人が色々教えてくれたりもするので発掘もしやすい。

一方で、たとえば「プログレッシブハウス」とか、自分のよく知らないジャンルの音楽に興味を持って聴いてみたいなーと思った場合、それをネットで情報探そうとすると、情報量があまりに多すぎたりとっちらかりすぎていて何から手をつけたもんかと途方に暮れてしまったりする。その他好きなジャンルだったりアーティストの最新情報なんかも、いちいち色んなサイトにアンテナはったりとかしておっかけないと情報が追いにくい。総合情報サイト的なものだと情報にノイズが多すぎてしんどいし、かといって今さら実際に音も聞けない雑誌とか見るのもアレだし。

昔って、思い返してみると情報がいい具合に限られてた気がするんですね。基本的にはオリコンとかのランキングだったり音楽番組だったり、雑誌などのメディアに掲載されるもの以外は知らないがゆえに存在しないに等しいものだったし。そうやってメディアの選別を通り抜けてきたものだけが手元に届いていたので、「情報量」としてはそれなりに抑えられていた気がする。そうやって限られてたからこそ情報もおっかけやすかったし、友達との話のネタにもしやすかったし、「自分はこのジャンル結構詳しい」とか「自分の知ってることが最先端」とかも思い込みやすかった気がする。

CDショップもそうで、ジャンルわけされた棚と新譜の棚、そしてPOPやら試聴機やらが「とりあえずこれ聴いてみれ」とか絞り込んでうまく提案してくれてて、その絞り込まれた中で気に入ったものを探せたので、ある意味楽だった。自分はある時期から音楽をネットで購入することが多くなってCD購入は激減したのだけど、CDをあまり買わなくなった以降でも、試聴機目当てでよく池袋のタワレコに足を運んでたのを思い出す。

ところがネット前提の場合、ネット上には新旧こもごもおっそろしく膨大な楽曲のカタログとそれに付随する情報があって、さらにインディーズやらアマチュアの音楽情報もある。たとえば「プログレッシブハウス」で絞り込んでも「プログレッシブハウス」に該当するもの全てが視界に入ってくる。あっちにPV動画があって、こっちでは45秒試聴できて、こっちでは詳しそうな人がレコメンドとかしてて、こっちには「聴くべき名盤50」とかあって…。そうやって視界に入ってきてしまうと、「こっちのがいいんじゃないか」「まだ聴いてないものにいいものがあるんじゃなかろうか」とか気になるし。また、情報も一カ所に集まってるわけじゃないので、どれを追っかけたらいいものかもよくわからない。わかるようになるまでが結構しんどい。

人が聞ける音楽の量にはやっぱり限りはあるし、選択肢が多すぎることによって選ぶことがしんどくなる、っていう事はあるのかもしれない。50曲の中から1曲選ぶのと、5000曲の中から100曲選ぶのだと、やっぱり前者のほうがやりやすい気がするし。

基本的に「選ぶ」っていうのは楽しいことだし、「選べる」っていうのはとても幸せなことなんだけど、それは選択肢が多すぎない事が実は前提として必要なのかな、と。

なんというか、「とりあえずこれ聴いてみてよ」っていうのをうまく提案する方法があればいいのか、とか、色々まだ自分のなかでうまく消化しきれてないんだけど、今自分がVOCALOID回りで体験してることに多少ヒントはあるのかもしれないという気はするので、地道にボカロ廃を目指します(嘘